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2016年度グッドデザイン賞

所在地 神奈川県相模原市南区
設計 一級建築士事務所 ナフ・アーキテクト&デザイン有限会社
構造・総戸数 W造・12戸
竣工年 2015年12月竣工
間取り 1K~1LDK (全戸ロフト付き)
敷地面積 321.08m2 (97.3坪)
延床面積 396.44m2 (120.1坪)
住戸面積 27.93m2~41.90m2
写真:矢野紀行

建築家紹介

1971年 広島県生まれ
1990年 広島県立広島皆実高等学校卒業
1995年 広島大学工学部第四類(建設系)卒業
1997年 早稲田大学理工学研究科修士課程修了
1997~2000年 山本理顕設計工場
2000年 NAF設立
2001年 一級建築士事務所
ナフ・アーキテクト&デザイン(有)
を共同設立して現在に至る

デザイン解説

住戸・バルコニー・ポーチを内包するスタッキングトレイのような居住スペー スを設定し、それを縦横に並べて共同住宅を構成しています。 敷地は近年再開発された小田急相模原駅から歩いて数分の場所にあり、周りに は一戸建てと共同住宅が立ち並んでいます。老朽化したマンションの建て替え 計画であり、昔と比べて駅やの雰囲気ががらりと変わっていることを踏まえる 必要がありました。 駅の利便性を生かして都心に勤務する単身~家族世帯、および近所の大学病院 関係者の入居を想定し、各階に1K4戸と1LDK2戸、上下階合わせて12戸の 木造2階建てとしました。土地勘のない入居者が多くなりそうなので、徐々に 地域に定着して行けるように、周辺住宅との一定の距離感を保ちながら、入居 者同士の程よい関わりを促す計画ができればと考えました。 トレイは1階で敷地いっぱいの大きさ、2階で建築面積および斜線制限いっぱ いの大きさとしています。ポーチは自転車も置ける広めの住戸前スペースであ り、トレイ内の生活に幅を持たせられるように設定しています。その壁にアー チ型の開口を設けることで隣のポーチへ行けるようにして、その連続で廊下の 代わりとなる動線をつくっていますが、隣のポーチを通らないと建物の外に出 られません。そういった専有・共有の曖昧さが、今回のような小規模(各階6 戸)であれば、無理のない近所付き合いのきっかけになるのではないかと考え ました。ポーチは住戸内からガラス建具で見通せるようになっていて、ブライ ンドでプライバシーの加減を調整できるようにしてあります。 トレイは白く仕上げ、そこに仕切り板のようなグレーの壁を挿入することで、 住戸・バルコニー・ポーチをエリア分けしています。住戸はすべてロフト付き にして3.8mまで天井を上げ、最高高さは10m近くになっています。高い壁 で囲まれた内側が閉鎖的になりすぎないように、トレイのバルコニーとポーチ にあたる部分を斜めにカットし、そこから光や風を取り入れつつ、外観の特徴 を作っています。 建築基準法の二方向避難が不要であることから、バルコニーには避難間仕切り や避難ハッチがなく、それが各トレイの独立性を高めています。バルコニーの 開口部は住戸内から見通せるガラス建具のみで、それを開ければ周りを気にせ ずトレイ内を流動的に使うことができます。 鉄筋コンクリート3階建てが可能な敷地ですが、賃貸収支のバランスからそれ を選択していません。賃貸情報的な分類は「ロフト付き木造2階建てアパー ト」ですが、上がったところで真っ直ぐ立てる室内階段のつくりとし、ロフト の窮屈さを減らして実用性を高め、擬似的なメゾネットによる木造4階建てア パートのような空間を目指しています。 トレイを用いた専有部・共有部の再構成と、木造2階建アパートに関する法規 の再解釈により、独自の居心地を備えた生活環境をつくろうと試みています。